Xperiaを充電するのにD+/D-をショートしないといけない理由

Xperiaを適当なUSB-ACアダプタで充電するためにD+/D-をショートしたアダプタを作成したわけですが、なぜショートしないといけないかがわかりました。

そのためには、なぜ現在の携帯電話機がMicroUSBコネクタを充電用に採用しているか、というところまでさかのぼります。

発端は欧州委員会(欧州連合=EUと考えてもらって差し支えないでしょう)にて、メーカーごとにバラバラの携帯電話充電器が環境への影響を考えると好ましくない、ということで、携帯電話用充電器の共通化を図る活動を始めたところにあります。

最終的には2009年の6月に主要メーカー(このなかに当時のSonyEricssonも入っています)との間で覚書(MOU)が交わされたようで、その結果採用された充電器のプラグ形状がMicroUSBだったわけです。(参考
そして、その普及活動のためのページが「One charger for all」で、その中に技術資料に関するページがあります。
この冒頭に付属書2として、技術要件が記載されていて、その中の7章にACアダプタの検出方法として以下の記述があります

7. Adapter Detection 
As per: USB Battery Charging Specification, Revision 1.1 (BC 1.1), Section 4.1 
Charging Port. EPS shall meet the USB-IF Charging Port Test Requirements for a 
Dedicated Charging Port. Top level requirements listed below:
• The EPS shall short the D+ and D- lines with a resistance not greater 
than 200 ohms. 
• The resistance between the D+ or D- lines of the EPS and either Vbus 
or Gnd shall be greater than 2 MOhms. 
• The capacitance between the D+ or D- lines of the EPS and either 
Vbus or Gnd shall be less than 1nF.

大元はUSBの充電仕様(Revision 1.1)に基づくUSB-IFの充電ポート(端子)試験要件からくるようです。ここで列記されているものの1番目を読むと『EPS(外部電源装置=ACアダプタのこと)はD+とD-を200オーム以下でショートすること』が求められています。(USB-IFとはUSB Implimenters ForumのことでUSBの仕様を決めている会社の集まりです)

Xperiaはこの条件にそってACアダプタを検出しようとしていたので、PCと接続されれば相手はPCであるとして通信と充電をスタートし、D+/D-がショートされていれば相手はACアダプタであるとして充電をスタートし、どちらでもなければ相手不明として何もしなかったわけです。

つまり、規格通りに正しく実装されているわけです。ただ、いかにも日本メーカーっぽい対応、即ちマーケットの実状と合わなくても規格を厳格に満たさなければコンプライアンスやCSRの問題になりかねないとして出荷を認めないところが多い・・・ではありますが。
あ、ただ、SO-04Eの場合はNTT Docomoが販売ですね。おそらく規格適合が要求仕様にあるので、検査で不合格にならないためには、厳密に実装せざるをえないのかもしれません(これまたお役所っぽい対応ですが)。今後、ユーザーからの苦情が多ければDocomoから仕様変更の要求がでて、ソフトウェアのバージョンアップの際にD+/D-がショートされてなくても充電できるようになるかもしれません。

そういえば、手持ちのUSB-ACアダプタは新しいものでも2年くらい前のものかもしれません。ひょっとすると、現在売られているものはほとんど問題ない(対応済み)のでしょうか??

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)