またHack a Dayの記事からです。
面白格安WiFiチップESP8266を使ったWiFiランプの記事がHack a Dayに載っていたので紹介します。
ATmega88/168/328をホストプロセッサとしてUARTでESP8266が載ったWiFiモジュールを制御する、というオーソドックスなものなのですが、この記事ですごいのは、回路図入力から完成まで約6時間(目標5時間)という早業(SpeedRun)であることです。
しかも、自分で生基板から感光基板を作ってエッチング、オーブントースターを使ってリフローハンダ付けで部品搭載するという電子工作としての過程がすごすぎます。
作業開始が17:43
- KiCADで回路図入力&ネットリスト出力
- レイアウト&パターン設計(片面基板)
ここまでで19:00(1時間17分経過)
- 画像編集ソフトで表裏反転&修正して、京セラのレーザープリンタでOHPシートに印刷して基板パターン原稿を作成
- 薄い基板をカット
- 表面をスチールウールで磨いて洗浄&乾燥
- 基板を水で濡らしてからRistonというフィルムを基板表面に貼る
- 基板とRistonを紙に挟んでラミネータを通し、Ristonを基板に融着?させる
- 基板サイズに切り出す
ここまでで19:30(1時間47分経過)
- OHPフィルム(基板パターン原稿)を基板サイズに切り出す
- Ristonの表面の保護フィルムを剥がす
- 3-in-1オイルを基板表面にたらしてOHPフィルムを密着させる
- Ristonフィルムを感光させる
- 原稿(OHPフィルム)を剥がす
- Baking Soda(重曹のようです)水溶液で現像する
(現像の具合を見ながら作業するもののようです。表面をゴム手袋をした指でかなり擦っています。) - 塩化鉄(塩化第2鉄ですね)でエッチング
(やはり基板表面をゴム手袋をした指で擦っています) - アセトンで残ったレジスト(Ristonフィルムの未感光部分)を落として基板が完成
ここまでで20:37(2時間54分経過)
- 基板のパッドにクリーム半田を塗って、部品を置く
- オーブントースターでリフロー
(低融点半田の方が簡単だよ、とのこと) - ハンダごてと半田吸い取り器でハンダ付け修正
(全部手載せしても変わらないような・・・) - AVR側の動作確認後、ESP8266が載ったモジュールのTX/RXを接続
- デモプログラムか何かをベースにソースコード作成
- 書き込みエラーに悩む?
- telnetにてESP8266と接続するテストコードが完成
ここまでで21:23(3時間40分経過)
- パワーLEDにPowerMOS FETを直付け、点灯テスト
ここまでで22:15(4時間32分経過)
- パワーLED4個を直列接続。手持ちの12VのACアダプタで駆動できるよう抵抗値を調整。電流値は86mA。
- 元のスタンドを分解し、組み込む
(LEDの結線を済ませてから、ランプの反射板に通し忘れたことに気づいたようです) - PowerMOS FET周りで悩んだ模様
(点灯コマンドなしに点灯してしまったようです) - 電流制限抵抗を後から追加?
ここまでで23:09(5時間26分経過)
- ソースコードを修正しつつデバッグ?
- どうやらPWMで明るさを調整しようとしている模様
- 最後に調光機能を追加して23:34(5時間53分経過)に完成
途中に出てくるRistonというのはデュポン社のドライフィルムフォトレジストのようです。一般には感光基板は生基板に感光材を塗ったもの・・・とされていると思いますが、実際には感光フィルムを貼り付けて作るのですね。
それにしても、作者の環境ではこんなものが電子工作の範疇で手に入るんでしょうか?
羨ましい限りです。