たまたま見かけた記事から3Dプリンタのベンチマークをしてみました。
ベンチマークのためのSTLデータや評価手順などは github.com にあり、熱溶融積層型のデータはこちらにあります。
3DプリンタはEnder-3です。ノーマルからの改造個所はスプールホルダを外部に設置したうえで、記事にはしていませんがフィラメントを引き出す際の負荷が軽くなるような工夫を追加しています。その他には、出力には影響ないでしょうが、ヘッド部分のファンが糸引きしたフィラメントを吸い込みにくいようにファンガードを設置しています。使用したフィラメントはPRILINE製のPLAフィラメント(たぶんこれ)です。
早速、まずは標準設定(積層ピッチ0.2mm)で出力してみました。
出力されたものを手順書に沿って評価してみます。
1.寸法精度
Target X方向寸法 Y方向寸法 X方向誤差 Y方向誤差 ----------------------------------------------------- 25 25.04 24.88 0.04 0.12 20 20.05 20.03 0.05 0.03 15 15.10 15.02 0.10 0.02 10 10.04 9.99 0.04 0.01 5 5.02 4.99 0.02 0.01 ----------------------------------------------------- 平均誤差 0.05 0.0475 XとYの誤差の平均 0.04875 XとYの誤差のずれ 0.0025
XとYの誤差の平均が0.1以下になっていることから、この項目のスコアは5となりました。
2.正確なフローコントロール
針状の部分で評価します。
この項目では針の部分の長さが30mm以上あれば2.5、糸引きがなければさらに2.5ということなので、上記のように糸引きしているので本項目のスコアは2.5ということになります。
3.正確な抜け特性(とでも訳すんでしょうか)
最初の写真の手前側の凸の部分はピンと周りの間に設計上は隙間があって抜けるようになっていますが、実際には寸法精度などにより全部は抜けません。これが工具などを使わずに手だけで抜ける個数を調べます。今回は3本抜けましたので本項目のスコアは3ということになります。
4.オーバーハング
オーバーハング部分の出来具合を見ます。
上の方になるほどオーバーハングがきつくなっています。写真では一番上の15度の部分は荒れていますが、20度の部分はギリギリOKでしょうか。だとすると本項目のスコアは4ということになります。
5.ブリッジ
上記の感じだと1番上のブリッジは垂れて2番目のブリッジに触れてしまっています。2番目のブリッジは垂れていますが、3番目のブリッジには触れていません。そのため、本項目のスコアは4ということになります。
6.XY方向の共振特性
筐体のリンギング特性を見ます。X方向とY方向の2方向があります。
主に目盛りのセンターの長い部分の影響を受けたリンギングをみるのだけど、センターに関係なくX方向もY方向も6ミリピッチのムラが出ています。また、さらに細かいピッチのムラも見えています。本項目のスコアは0となります。
6ミリピッチはモータかモータのタイミングベルトのスプロケットあたりなんでしょうか?細かいピッチはタイミングベルト由来でしょうか?
7.Z軸のアラインメント
本来はZ軸の送りねじのピッチむらを見るものだと思うのですが、ピッチむらどころではない残念な感じですね。送りねじの精度がかなり悪いのかもしれません。本項目のスコアは0となります。
まとめ
各項目のスコアを足すと、18.5ということになります。ちなみに、Prusa i3 MK3 で 22.5 、Makerbot Replicator 2 で 18 ということだそうです。
2万5千円の3Dプリンタとしては健闘しているのでは、と思います。