SCD30のキャリブレーション

こちらのCO2センサの比較記事にSCD30のキャリブレーションはどうやるの?というご質問をいただきましたので、この記事を書いてみました。

まず、SCD30に関する情報源はSensirion社のサイトのダウンロードセンターになります。

そして、その下半分に各種資料が掲載されています。
キャリブレーションに関しては、Application Notesの中のField Calibration CO2 Sensor SCD30という資料になります。

これを見ると、冒頭のPrefaceの部分でキャリブレーションの方法としてASC (automatic self-calibration) と FRC(forced re-calibration) の2種類が存在し、この資料でそのアルゴリズムが解説されていることが説明されています。そして、これらはSCD30を組み込んだ製品の製造ラインでFRC(forced re-calibration)で初期キャリブレーションを行い、使用中のドリフト対策としてASC (automatic self-calibration)を使うことが想定されているようです。

FRC(forced re-calibration)について

forced re-calibrationは強制キャリブレーションで、既知の安定したCO2濃度の環境にしばらく置いてから、現在の(既知の)CO2濃度値をSCD30に書き込むというのが基本的な考え方です。

そして、FRC(forced re-calibration)を製造ラインで使う場合には密閉された400ppm〜2000ppmの安定したCO2濃度の環境に2分以上置いてから現在のCO2濃度値を書き込むことが推奨されているようです。

エンドユーザーがFRC(forced re-calibration)を使う場合には通常密閉されて安定したCO2濃度の環境は用意できないので、屋外に置いて屋外の環境を400ppmとみなしてCO2濃度値を書き込む方法が記載されています。

ASC (automatic self-calibration)について

対するautomatic self-calibrationは自動自己キャリブレーションで、過去の測定値からキャリブレーションを行う方法です。簡単に言えば、過去の測定値の最低値を400ppmとみなしてセンサのキャリブレーションを継続的に行うもの、と理解すればいいと思います。(この辺はMH-Z19Bのオートキャリブレーションも同じです)

したがって、ASC (automatic self-calibration)を使用する場合には、以下の条件が必要です。

  • 定期的にCO2濃度が400ppm程度まで下がること。つまり、外気との間で換気がよい人のいない環境が必要。
  • (これはSCD30ではなくMH-Z19Bの資料に記載があるのですが)CO2濃度が400ppm以下にならないこと。具体的には、森の中や温室の中など周囲に植物があり光合成が行われている環境では400ppmを下回るということです。

こういった条件があるため、SCD30ではデフォルトではASC (automatic self-calibration)はオフになっています。

実際のキャリブレーションについて

自分が使用したSparkfunのSCD30 Arduino Libraryでは、ソースコードを見ると初期化時にASC (automatic self-calibration)をオンにしています。ですので、キャリブレーションは就寝時には設置してある部屋の窓を開けて、窓際においた扇風機をONにして換気をよくする、というだけです。(センサ自体の工場出荷時にキャリブレーションされていると思うこと、濃度がはっきりわかる環境下で人が近くにいない状態でFRCを実施するのは難しいので、FRCは実施していません)

なお、SCD30ではなくMH-Z19BでオートキャリブレーションをOFFにして運用したことがありますが、やはりずれていってしまうようですので、自分の使い方の場合にはオートキャリブレーションをONにしたまま定期的に400ppm環境にさらして校正を行う(=夜間は窓を開けて換気する)必要があるのだと理解しています。

ですので、CO2モニタが設置された店舗等の場合、果たしてキャリブレーションが適正に行われているかはやや疑問です。ちなみに、横着して(冷房もありますので)1週間位締め切ったままにしていたら、

のようになりました。最後の部分は久しぶりに窓を開けて、換気をしたため急激に下がっていますが、2つのセンサの値のズレが大きくなりました。どちらが真の値かはわかりませんが、そこそこずれていきます。換気の目安としては大したズレではないですが、値の大きいところで数百ppm単位で一喜一憂することには意味がないことになります。

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